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2021年11月19日

異動や転職をせずに、今の仕事にやりがいを見出す方法

育成支援図鑑

 

キャリアコンサルタント&広報担当 鈴木さくらです。

 

今回は、入社3年目以降に訪れやすい仕事へのマンネリ化現象・・・そこから脱却するための知識と方法をお伝えします。

 

「最近、仕事がマンネリ化してしまって・・・」となんとなく感じているご本人様、「従業員がもっと主体的に仕事に取り組んでもらうには?」とお考えの人事担当者様、ぜひご参考になれば幸いです。

 

 

 

■仕事を変えなくても、やりがいを見出すことは可能です

 

キャリアコンサルタントとしてクライエント様からご相談を受けるテーマのなかに、「仕事にやりがいが見いだせなくて」「モチベーションが上がらなくて」といったお悩みがあります。

 

「異動も見込めなそうだし、この先ずっとこの部署で仕事を続けることに、このままでいいのかなあって」と続きます。

 

こんなご相談を受けると、転職したほうがいいんじゃないかなとよぎってしまいますか?

 

でも、ちょっと待って。

 

仕事を辞めるのは本当に簡単です。でも、辞める前に、もう一度考えてみてほしい。「本当に本当に、今の仕事ではやりがいを見出せないのか?」と。

 

ここで、この概念が助けてくれるかもしれません。

 

それは、ジョブ・クラフティング。これは、米イェール大学経営大学院のエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授が提唱した概念で、 「従業員一人ひとりが仕事の捉え方や業務上の行動を修正することで、現在のやらされ感のある仕事を働きがいのあるものに変容すること」を意味します。

 

もっと簡単に表現すると、「自分の仕事を意義深いものに変えていくこと」です。これは従業員個人でも可能ですし、企業の取組みによって促していくことも可能です。

 

マンネリ化してしまうと、自らの仕事を視点を変えて見るのは難しいところがありますが、ジョブ・クラフティングは3つの視点で自分の仕事について修正し、見直しをすることで仕事に対する主体性を引き出せると考えられています。厚生労働省によれば、その3つの視点とは「①作業クラフティング」「②人間関係クラフティング」「③認知クラフティング」です。

 

 

 

■仕事にやりがいや満足度を上げるための3つの視点

 

「クラフト」とは本来、「技術」や「技巧(ぎこう)」という意味の言葉です。そこから派生して、ジョブ・クラフティングという言葉が生み出された模様。仕事のやりがいや満足度を高めるために自分の働き方に工夫を加える際には、以下3つの視点が必要です。

 

 

まず、「①作業クラフティング」は仕事の内容や方法を工夫すること。仕事の中身がより充実したものになるよう、仕事の量や範囲を自ら変化させる工夫をいいます。

 

といっても、職種転換や異動など仕事をガラリと変えることではなく、むしろタスクに修正をかけていくことです。仕事は複数のタスクから構成されているため、タスクの量や内容、方法を変更することも、仕事自体や仕事の経験を変更することにつながります。

 

たとえば、採用担当者が母集団形成をすべく候補者を惹きつけたり、タッチポイントを増やしてコミュニケーションをとったりするために、これまで活用してこなかったSNSを活用し始める・・・といったようなことが当てはまります。

 

 

次に、「②人間関係クラフティング」は周囲への働きかけを工夫すること。仕事で関わる人々との関わり方を調整することで、サポートや前向きなフィードバックをもらい、仕事への満足感を高める工夫のことです。

 

仕事は人間関係が大きく影響しますよね。仕事やタスクの遂行に関わる同僚や顧客といった他者との関係性を増やしたり、あるいは、その質を変えていくことで、仕事への満足度を変えることができます。

 

たとえば、これはアメリカでの有名かつわかりやすい実例ですが、病院の掃除スタッフが患者さんやその家族、訪問者とのコミュニケーションを積極的に取って増やしていきました。挨拶だけではなく、言葉を交わして、そこに温かい交流を生み出し、関係の質を良くしていきました。そうするともはや、「一清掃スタッフ」ではなく、患者さんの「サポーター」という病院にとっても患者さんにとっても欠かせない役割を担うようになり、もちろん本人もその仕事に誇りを持てるようになった、ということです。

 

 

最後に、「③認知クラフティング」は仕事の捉え方や考え方を工夫すること。仕事の目的や意味を捉え直したり、自分の興味関心と結びつけて考えることでやりがいを見出し、前向きに仕事に取り組む工夫のことです。

 

たとえ、実際の業務内容の変更や他者との人間関係の変化がなかったとしても、それらをどのように認知するかによって、仕事の意義や意味は変化しうることを意味しています。

 

たとえば、本人の認知としてはタスクの自由度が低く、ルーティン業務に従事している給与計算業務の人事労務担当者が経営に関して学んだり、業務の背後にある仕事の流れに目を向けることで日々のタスクにおもしろみや厚みを感じるようになることなどです。

 

 

 

■研修でもキャリアコンサルティングでも有効です

 

3つの視点のうち、先行研究ではとくに「認知クラフティング」の重要性が指摘されているようです。

 

若手社員を対象にしたフォローアップ研修を開催している企業様は多いかと思いますが、弊社のプログラムではこの「認知クラフティング」に着目してキャリアを捉え直す研修を提供しています。そうしたら・・・

 

 


 

・視座を上げて、自分の仕事を捉え直すことができた。

・営業として売上を達成して利益に貢献するという視点は持っていたが、そこにたどり着くために良質な価値をしっかり提供してるんだと思った。

・キャリアの振り返り前後で「誰に何を提供するプロフェッショナルでありたいか」という問いの答えが変化した。より仕事の本質、根底にあるものを見つめ直すことができたと思う。

・こうして振り返ってみると新製品の開発にかかわるなど、思ったよりも貢献できていたと感じた。自社の事業内容を見ることで、「互いにつながる」ことを実現するという、自分が行う仕事の意義を再確認できたと思う。

 


 

 

なんていう受講者様の声が行き交っていました。

▼詳しくはこちらをどうぞ。研修プログラムの事例を公開しています。

 

 

マンネリ化しているな・・・従業員の主体性をもっと引き出したいな・・・そんなとき、異動や転職を考える前にできることはいろいろありますね。

 

ちなみに、キャリアコンサルタントとしてジョブ・クラフティングの視点を持ちながらキャリアコンサルティングをしていくことは、非常に有益です。研修のみならず、キャリアコンサルティングにも有効な概念であり、手法なのですね。

 

ぜひ参考になさってみてください^^

 

 

(おしまい)