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2021年12月23日

学生が好印象を抱く面接官が持つ「傾聴力」を2つに分解してみました。

採用支援図鑑

 

キャリアコンサルタント&広報担当 鈴木さくらです。

リクルート社「就職みらい研究所」によると、 2021年12月1日現在の就職内定率は95.2%(「就職プロセス調査」より※22年卒大学生が対象)で、コロナ禍前と同水準となりました。就活がだいぶ終盤に差し掛かりましたね。

 

今回のnoteはちょっと早いですが、今年の採用面接の振り返りを込めて、「学生が好印象を抱く面接官」について迫ってみたいと思います!

 

 

 

■「傾聴力」を分解してみると

 

 

「聞き上手な人ってキライ!」という人に私はこれまで出会ったことがありません。

 

未経験なため、あくまで想像で恐縮ですが(行きたい場所リストには長年入っているんですけども笑)、キャバクラや高級クラブ、ホストクラブでお酒を楽しみながら自分の話を聞いてもらう場所に足しげく通う人がいるように、私たちは「自分の話を聞いて(聴いて)もらいたい」社会的な生き物です。

 

その根底には、「自分をわかってほしい」という欲求があるからなのですが、「わかってもらう」ためには言葉や言葉以外(声、態度、表情、姿勢、ボディランゲージなど)の方法で伝えていく必要がありますよね。

 

HR総研が実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」(楽天みん就の会員を対象)によると、好印象な面接官を形容する言葉として「優しい」「笑顔」「親身」「丁寧」「話しやすい」「楽しい」・・・が挙がりました。これらを一言で表すと、「聞き上手」あるいは「傾聴力がある」といえますね(『就活生が選ぶ「面接が好印象だった会社」TOP10~高評価の企業には「聞き上手」な担当者がいる~』より)。

 

経産省が提唱する社会人基礎力の能力要素に「傾聴力」があるため、ひとつのビジネススキルとしての認知度も上がってきました(したがって、ここでは「傾聴力」という言葉を使います)。

 

社会人基礎力の「傾聴力」は「相手の意見を丁寧に聴く力」と説明されていますが、違う角度から分解してみると、2つに分けられると思います。一つ目は「カウンセリングマインド」、二つ目は「カウンセリングスキル」です。

 

 

 

■カウンセリングマインド

 

 

「面接官にカウンセリングマインド?!」とびっくりされるかもしれませんが、カウンセリングの神様、カール・ロジャーズを持ち出すまでもなく、話を聴くというスキルが活かされるのは、土台となるカウンセリングマインドがあってこそ。

 

ただ、もちろん面接官はカウンセラーではないため、プロのカウンセラーのような由緒正しき?生粋な?カウンセリングマインドまでは求められません。

 

私が面接官トレーニング研修でカウンセリングマインドをお伝えするときには、「たったこの2つだけ必要」と言っています。

 

 

 

 

 

話を聴くプロであるキャリアコンサルタントから、こんなベーシックなことを言われて新鮮味なく、「なぁんだ、そんなの知ってるよ~」と拍子抜けされることも多いのですが、でもちょっといい機会なので、ここでご自身を振返ってみてください。これらを相手にちゃんと伝わるように、一貫して体現できていますか?

 

たとえば、表情ひとつ。「はじめまして」と緊張した面持ちでいる学生の気持ちをほぐして、心を開いてくれるような表情ってどんな表情でしょうか。笑顔?そう、代表的ですね。その笑顔は、ぎこちない作り笑顔ではありませんか?「数ある会社から見つけてくれて、選んでくれて、ここに来てくれてありがとう!」という気持ちを学生に伝わるように表すことができていますか?あたたかな目線も然りです。

 

たとえば、態度ひとつ。悪気はまったくないけれど、腕を組んでしまう癖はありませんか(腕組みは、相手を拒絶する、受け入れがたいという非言語的なメッセージを含んでいます)。うなづき、あいづちのバリエーションはどのくらい持っていますか?

 

面接時間中、相手に肯定的な関心を持ち続けられていますか?「肯定的」というのがポイントで、社会的経験がない学生に対して対等な関係のもと、否定的ではなく肯定的に「あなたのことが知りたい、ぜひ聞かせて」という姿勢を持つことです。

 

言い換えると、「この学生さんの良さは何かな?」とワクワク宝探しをする感覚に似ているかもしれません。それが、「話を引き出す」ような関わりになるでしょうし、「遮らず、最後まで聞く」ことにつながります。

 

 

 

■カウンセリングスキル

 

 

これも、先ほどのカウンセリングマインドと同じで、面接官はプロカウンセラーではないため、カウンセラーと同等の数多くのカウンセリングスキルは求められません。

 

面接で多用されるカウンセリングスキルとしては、本音を話したくなる質問力とフィードバック力が上位に挙がります。

 

 

 

 

 

面接官トレーニング研修では、引き出しを増やしましょう!と10の引き出しを伝え、それをもとにロープレをして身に着けていきます。最初はどんなふうに質問をしていけば学生を知れるのかぎこちなかった面接官(受講生)も引き出しができていくにつれ、次第に「こういう質問をすると、こういうことを話してくれるのか」とわかってくるようになってきます。

 

また、最近の面接で多く見られるようになったフィードバック。面接官が学生に対しプラスのアドバイスをする場面が定着するようになってきました。学生は客観的な視点から改善点やアドバイスをもらえるので次回に活かしやすく、好印象につながります。

 

フィードバックを伝える際には、ぜひ「Iメッセージ」で伝えてみると、より伝わりやすくなります。「Iメッセージ」とは、「私」を主語にして、「私は○○と感じた、と伝わった、と見えた、と聞こえた」と伝えること。思いっきり主観的表現ですが、だからこそ、相手が受け取りやすいんです。

 

一方、「Iメッセージ」の反対は「Youメッセージ」。これは、主語が「あなた」になるので「あなたは●●だった、●●じゃなかった」と、決めつけた表現になってしまうんですね。だから相手は受け取りづらい。

 

「Iメッセージ」とともに、「だから、こんな風にすると次回はいいかもしれませんね、よかったら参考にしてみてください」と相手を尊重して伝えるとよいでしょう。

 

 

 

■まとめ

 

 

好印象な面接官が持ち合わせている「傾聴力」を分解してみると、カウンセリングマインドとカウンセリングスキルに分けられました。最後にここで注意したいのは、これらはテクニックではない、ということ。

 

テクニックには相手をコントロールする、という意図が込められています。「相手に話させる」「自社を好きにさせる」など、「~させる」というコントロールに対して私たちの持つ動物的な勘なのか、とても敏感に察知し、言葉で表現できないけれども「イヤな感じ」がします。そりゃあ、誰だってイヤですよね笑。自分を大事にしてくれず、尊重してくれない相手との信頼関係は残念ながら構築できないものです。

 

テクニックの土台に、マインドはありません。小手先のテクニックとしてではなく、土台にマインドがあって、その上にスキルとして身に着けることで、活かされていきます。

 

好印象な面接官はきっと、付け焼刃のテクニックではなく、会社の社風や日常の業務でカウンセリングマインドがあって、そのうえでカウンセリングスキルを活かした面接を展開していることでしょう。

 

こちらの傾聴力チェックシートからご自分の現在地を知ってみるのもいいかもしれませんね。よろしければ、どうぞ!

※資料のダウンロードをなさっても営業電話はしませんので、ご安心ください(*´▽`*)